米アマゾン、新型Dash Cart投入、配送倉庫も配達スピードアップのために投資継続

アマゾンの第二四半期は、売上高が前年同期比7%増の1212億3400万ドル(約16兆2900億円)、最終損益は20億2800万ドルの赤字となった[1]。2四半期連続の赤字ではあるものの、AWSは堅調を維持。また広告売上も、87億6千万ドルと昨年の74億5千万ドルから大幅に上昇した[2]。

一時凍結されていた物流拠点の構築も再開した模様だ。アマゾンは最近ニューヨーク州西部に5階建ての物流センターを建設する許可を現地当局から得たようだ[3]。この倉庫は「ソータブル(仕分け可能)・フルフィルメントセンター」と呼ばれているもので、顧客の注文に応じて商品のピッキングや梱包を行う施設。配送のスピードアップに欠かせない施設であり、競争力の維持・強化のための投資と言える。

また、米アマゾンは、リアル店舗向けのスマートカート、Dash Cartの新バージョンを発表した[4]。新バージョンは、かご容量が倍増され買い物袋4つまで搭載が可能だ。雨などにも強く、チェックアウトすればそのまま駐車場まで荷物を運べる。もちろんレジの列に並ぶ必要はない。また店内での位置特定の精度もアップし、近くの生鮮食品などを自動表示してくれる。これによりバーコードのない量り売り商品も容易にカートに入れることができる。(Dash Cartには重量センサーがついている)この進化したDash Cartの最大のニュースは、Whole Foodsへの導入だ。前のバージョンはAmazon Freshのみだったが、いよいよ本丸Whole Foodsでも利用が可能となる。

[1] 米Amazon、4~6月は連続最終赤字 新興EVで評価損: 日本経済新聞 (nikkei.com)

[2] Amazon in Q2 loss, but revenue better than expected | Chain Store Age

[3] アマゾン、大型倉庫の建設推進へ 物流網見直しでも – WSJ

[4] Amazon’s Dash Cart Gets Updated, Expands to 1st Whole Foods Market | Progressive Grocer

Shopify、YouTubeと提携、YouTubeの動画コマースプラットフォーム化に弾み

Eコマースにおけるライブコマースや動画コマースのプラットフォームは未だ勝者が見えない混とんとした状況だ。その中で圧倒的な視聴者数を誇るYouTubeがどのようなEC連携を行うか、注目が集まっていた。

Shopifyの日本法人は、この程YouTubeとの連携機能が日本で始まることを発表した[5][6]。Shopifyの商品カタログ機能と、YouTube動画へのタグ付け機能が連携され、ワンストップでYouTubeでの動画による商品説明とShopifyのEC機能が連携できるようになる。ただし、現時点では、Googleチャネルに機能が限定されており、かつチャンネル登録者が一定数以上でなければならない、など、Google側の要件設定は必ずしも簡単なものではない。とは言え、YouTube側がShopifyをECパートナーとして重要視していることは間違いなく、今後の機能拡大にも期待できる。

[5] 「Shopify」と「YouTube」が連携、「YouTube ショッピング」で動画コマースを簡単に実現 | ネットショップ担当者フォーラム (impress.co.jp)

[6] Shopify、YouTubeと提携を開始 | RTB SQUARE

ツルハ、上場初の減収、CRM強化で挽回を目指す

ツルハの公表した2022年5月期連結決算は、売上高が対前期比0.4%減の9157億円、営業利益が同16.1%減の405億円となった[7]。上場後初の減収となる。収益の立て直しの柱として掲げられてるものの一つが「デジタル戦略の推進(CRMの構築と「1to1マーケティング」の進化)」だ。

ドラッグストア1店舗当たりの商圏人口は14年の9736人から採算ラインに近い7124人まで落ち込んでいると言われており、顧客の育成・つなぎ止めは急務だ。ツルハは、アプリに力を入れており、ツルハのポイントに加え、花王やユニリーバのマイレージプログラムもアプリに相乗りする。また読み物記事も掲載されており、アプリを生活の一部に位置付けてもらいたいという意図がうかがえる。

[7] 上場以来初の減収となったツルハHD、収益性改善に向け新中計がスタート _小売・物流業界 ニュースサイト【ダイヤモンド・チェーンストアオンライン】 (diamond-rm.net)

食品のEC規模1.2兆円、モールやネットスーパーで使い分けも浸透

富士経済は「食品のオンラインチャネルにおける成長ポテンシャルと事業性評価に関する調査」を発表した。これによれば、2021年の市場規模は小売りベースで1兆2214億円だった[8]。チャネル別では、ECモールでは加工食品、特にナショナルブランドの品揃え強化が図られているのに対し、コロナ以降伸長目覚ましいネットスーパーでは冷凍食品や生鮮食品の豊富さが人気となっている。店頭との在庫の共有で品ぞろえを増やしている企業も多いようだ。

なお、ECだと傷みが気になる生鮮食品だが、食品ロスの防止の観点からもパッケージの見直しが進行している。イオングループでは「真空スキンパック」の導入を開始。これにより食肉の場合、消費期限を約10日伸ばすことができるという[9]。ネットスーパーでまとめ買いをするのに、長い消費期限はありがたい。このような包装技術の進歩で、食品のEC化はさらに広がるとみられている。

[8] 加工食品のEC市場規模は2021年に1.2兆円、2025年には1.7兆円に拡大 | ネットショップ担当者フォーラム (impress.co.jp)

[9](参考)イオン、食品を長持ちさせる包装導入:日経ビジネス電子版 (nikkei.com)

パナソニック、「値下げナシ」販売への挑戦本格化、一部で委託販売型も

パナソニックが販売方法の見直しを本格化している。家電商品は海外製品との競争で値崩れが悩みの種だ。販売強化のための販売奨励金も、実態は値引き原資となっており、ブランド棄損につながりかねない状況だ。長期間売れ続ける「強い製品」を生み出すためには、値引きは命取りとなる。そこで、パナソニックは2020年から販売奨励金を減らす取り組みを始めている[10]。

その一つの方法が、販売の委託型への転換だ。在庫リスクをパナソニックが負う(売れ残った商品を引き取る)ことを条件に、「値引きナシ」での販売を委託。本来、メーカーが価格を流通に強要することは独禁法違反だが、在庫リスクをメーカーが持つ委託販売型なら独禁法には抵触しない。値崩れしなければ商品のライフサイクルを伸ばすことができ、その分、顧客指向の商品開発に専念できる。パナソニックが掲げる「開製販の一体化」の実現に向けた第一歩と言える。今後どんな商品が生まれてくるか、楽しみだ。

[10] パナソニック、退路断つ覚悟 量販店取引変更や値上げ: 日本経済新聞 (nikkei.com)

[11] 「値下げナシ」導入のパナソニック 理由は「バケツリレー」な開発:朝日新聞デジタル (asahi.com)

以上

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