宅配の再配達増加傾向、宅配クライシスは避けられるか?求められる受取方法の多様化

コロナ禍でいったんは減少した再配達率が上昇している[1]。2017年ごろに吹き荒れた宅配クライシスはコロナによる在宅率の上昇にも支えられ、何とかやり過ごした感があるが、このままでは危機が再燃しかねない。宅配ボックスや置き配など、多様な受取型の普及が急がれる。一方でコロナにより近距離輸送のニーズの落ち込みはドライバーの賃金にも跳ね返っている模様だ[2]。賃金上昇が見えない近距離輸送より、デリバリーやEC宅配といったギグワーキングに人手が流れる可能性も出てきている。コロナの終息がロジスティクス業界に及ぼす影響は小さくなさそうだ。

[1] 宅配便の再配達率は11.2%、前年同月比で2.7ポイント増【2021年4月】 | ネットショップ担当者フォーラム (impress.co.jp)

[2] トラック運賃下落 減収ドライバー誘うギグワーク: 日本経済新聞 (nikkei.com)

ECモールは楽天、アマゾンがしのぎを削る、食材宅配は生協系が上位を占める

 ニールセンの調査[3]によれば、4月のECサイト利用者は、楽天が5,370万人、アマゾン5,120万人、ヤフー2,557万人。楽天、アマゾンが競り合い、ヤフーがそれを追随する形となっている。一方、コロナで需要が急増した食材宅配のジャンルでは、上位1、2、4位を生協系の食材宅配サービスが占める[4]。いずれも専用の配送網を構え、エリア限定でサービス対応している。ネットスーパー系では、イオンネットスーパー(3位)、楽天西友ネットスーパー(5位)。また、食材宅配もミールキットが人気で二けたの伸びを示している好調なサービスも多い[5]。なお、西友はネットスーパー事業について、2025年までに1000億をめざすとしている[6]。

[3] コロナ禍で最も利用されているECモールは楽天市場。アマゾン、楽天、ヤフーの利用者属性はどうなった?【ニールセン調査】 | ネットショップ担当者フォーラム (impress.co.jp)

[4] 利用者数が多いネット注文の食材宅配サービスの上位は「おうちCO-OP」「コープデリ」「イオンネットスーパー」 | ネットショップ担当者フォーラム (impress.co.jp)

[5] 通販新聞社 / ミールキット好調、コロナ追い風に2桁の伸び、異業種参入増で浸透加速 (tsuhanshimbun.com)

[6] 西友、ネット販売1000億円目標  中計、楽天と連携強化 :日本経済新聞 (nikkei.com)

スマホ決済祭、2回目のコロナの夏でも健在

 PayPayがユーザー数4,000万人突破記念として大型キャンペーンを7月実施する[7]。テレビコマーシャルの露出も始まった。

PayPayをはじめとするスマホ決済事業者はこの秋を中心に加盟店への決済手数料無料を終了する動きを見せており[8]、この夏のユーザー獲得状況次第で、秋以降の加盟店の加盟店継続・離反が左右される。なおPayPay以外のスマホ決済事業者のキャンペーン状況は[9]に。府税支払キャンペーン(au Pay)など活用場所も多彩だ。

[7] PayPay、7月25日に夏のPayPay祭フィナーレジャンボを開催 ユーザー数4,000万人突破を記念|ECのミカタ (ecnomikata.com)

[8] まもなく始まる? コード決済手数料有料化。手数料は“悪”なのか【鈴木淳也のPay Attention】-Impress Watch

[9] 「PayPay」「d払い」「au PAY」「楽天ペイ」2021年7月のキャッシュレス還元まとめ – ケータイ Watch (impress.co.jp)

買い物情報のネットシフトの加速か?チラシ昨年2割強減

 コロナ禍で「3密」を避けるため、スーパーを中心として折込チラシの出稿が大幅に減少。旅行業界は激減。一方宅配ケータリングは8%増。紙媒体のレスポンス率が低下傾向にあった通信販売関連の出稿も増加した[10]。スーパー業界では、紙媒体への依存がマーケティングの効率化の阻害要因だったと考えられてきており、今回のコロナでの出稿自粛は、販促媒体のDXを一気に加速する可能性があり、大手流通の動向が注目される。

[10] チラシ需要、業種で明暗  スーパー、昨年25%減/通販、日用雑貨がけん引 :日本経済新聞 (nikkei.com)

ナイキ、D2C売上が全体の4割に

 2011年ころからD2C戦略を鮮明にしてきたナイキが、2021年D2C売上が4割を占める水準に達した模様だ[11]。依然として過半数はリテーラー経由の販売になるが、今後はリテーラーの数も絞りつつ、戦略的なパートナー関係を目指すとみられている。

[11] Nike’s direct-to-consumer sales are taking off — Quartz (qz.com)

以上

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