信頼を失うアマゾン商品レビュー、インフルエンサーやクラウドファンディングの目利きに再び注目あつまる 

日経クロステックが三大ECサイトのユーザービリティー調査結果を発表した[1]。ここでアマゾン利用者が不満に感じている第1位は「商品に対する評価が信頼できない」(41.0%)だった。実に4割強のアマゾン利用者が商品レビューに不満を感じてことになる。これは、楽天市場の利用者と比べると27.8ポイントも高い。 

アマゾンに対する不満はレビューのみならず、商品の品質にも。米国カルフォルニアでは、セラーの欠陥商品の責任をアマゾンにも問う判決が下された[2]。ECモールにおける粗悪な商品・レビューに対しての批判が一気に噴出した構図だ。 

 一方消費者の注目が集まるのが、第三者の視点を通じて商品をプレゼンテーションするクラウドファンディングやインフルエンサーだ。楽天はROOMのインフルエンサー監修のもとに、楽天市場店舗とのコラボ商品を開発・販売するメニューの提供を進めている[3]。かつて悪意のある店舗の取り締まりに苦労してきた楽天だが、その経験を活かしインフルエンサーのチカラで新たな販売手法に取り組んでいる。 

 なお、海外でもECモールのレビューに対する消費者の評価は厳しい。米国においても日本と同様にクラウドファンディングに高い関心が寄せられている。だが、単なる目利きとしての機能だけでなく、大企業や大手モールでは資本の規模に押されている小さな企業を応援しようという、先ほどGameStop株の出来事のような判官贔屓的な人気があるとされている点は、いかにも米国らしく興味深い[4]。 

[1] 3大ECサイトの出来栄え評価 | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com) 

[2] 第三者セラーの欠陥商品、 Amazon にも責任を問う判決:カリフォルニア州の事例がeコマース業界に与える影響 | DIGIDAY[日本版] 

[3] 通販新聞社 / 楽天の「ROOM」 店舗とのコラボ商品好調、「拡散力」でランキング上位に (tsuhanshimbun.com) 

[4] When Do Consumers Prefer Crowdfunded Products? (hbr.org) 

ECの利用、ネットスーパー意向高まる、EC全体でも押し上げ、しかし海外に比べまだまだ見劣り 

今週はECの利用率の上昇に関する調査結果が多く報告されている。その中で注目はネットスーパー。LINEの調査によれば[5]、現在ネットスーパーの利用経験があるのは、女性全体の10%に過ぎないものの、ネットスーパーの認知率は90%以上、今後の一年で利用者は3割近くまで延びる可能性があると予想している。実際のビジネスでは、楽天ネットスーパー事業は55.6%上昇と報告されており[6]、スーパー取扱商品のEC化のインパクトの大きさをうかがわせている。 

シニア層のネットショッピングに対する意識もこの一年で大きく変化した。「趣味人倶楽部(しゅみーとくらぶ)」の調査[7]では、コロナ流行で「ネットショッピングする」ことが増えたとの回答が3割に上る。また、一般消費者のネット購買行動にも変化がみられる。ネットショッパー研究会が調査[9]したところ、前年に比べて「安さ」を重視する人が減少し、「注文操作のわかりやすさ」を重視する人が増加したことがわかったという。 

しかし日本のECの勢いをしのぐのが欧米のEC化だ。ウォルマート[10]は直近2年間でEC売上を倍増しており、またBOPISなど実店舗の連携も進む[11]。 

[5] ネットスーパー利用経験のある女性は約2割 利用意向は若年層のほうが高い結果に/LINEリサーチ|ネット通販情報満載の無料Webマガジン「ECzine(イーシージン)」 

[6] 楽天の国内EC流通総額は1.1兆円で約22%増、ショッピングECは約40%増【2021年1Qまとめ】 | 大手ECモールの業績&取り組み&戦略まとめ | ネットショップ担当者フォーラム (impress.co.jp) 

[7] ネットで買い物する際に重視する項目「配送料がかからない」が最多/ネットショッパー研究会調査|ネット通販情報満載の無料Webマガジン「ECzine(イーシージン)」 

[8] 【シニアDX調査】EC利用から癒しの手段まで、オンライン行動がコロナ禍の1年で多様化 2021年と2020年を比較|ECのミカタ (ecnomikata.com) 

[9] コロナ禍でEC活用はどう変わった? EC利用率は33%、利用拡大の意向は44%、EC活用を検討している企業は約2割 | ネットショップ担当者フォーラム (impress.co.jp) 

[10] ウォルマート、今期上方修正 米経済正常化で消費楽観: 日本経済新聞 (nikkei.com) 

[11] 【WalmartのDX事例】Amazonショックに立ち向かうリテール王が進めたデジタルとリアルの良いとこどり | DX経営図鑑(全8回) | ネットショップ担当者フォーラム (impress.co.jp) 

広がる消費者被害、消費者庁もネット監視強化 

 ネット上の悪徳業者による消費者被害が拡大している。直接的に金銭をだまし取るフィッシングサイトも巧妙化し、数も増えている。BBソフトサービスの調べ[12]によれば、フィッシングサイトの数は昨年の3割増しとのこと。警察など再三注意を呼び掛けているが、被害は収まらない。 

 一方、コロナ禍で注意が呼びかけられているのが、免疫に関する虚偽・誇大広告。消費者庁も重点的に監視を強化しており、1-3月で99事業者に対して改善要請を行ったという[13]。 

[12] フィッシング詐欺サイトが前年比1.3倍に EC事業者かたるフィッシングが増加/BBソフトサービス調査|ネット通販情報満載の無料Webマガジン「ECzine(イーシージン)」 

[13]インターネットにおける健康食品等の虚偽・誇大表示に対する要請について(令和3年1月~3月) | 消費者庁 (caa.go.jp) 

新たなDX推進の形となるか?資生堂、アクセンチュアと合弁会社設立へ 

 経済産業省「DXレポート2」[14]にも指摘されているように、DX人材の確保は全産業共通の課題だ。資生堂はビューティー領域のマーケティングDXのためにアクセンチュアと合弁会社を設立する[15]。新会社は、「資生堂インタラクティブビューティー」。7月に設立予定だ。社員数は約250人。果たして合弁会社はDXの推進、事業化の切り札になるのか、注目される。 

[14] デジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会の中間報告書『DXレポート2(中間取りまとめ)』を取りまとめました (METI/経済産業省) 

[15] 資生堂がアクセンチュアと合弁会社、魚谷社長「DXでビューティー市場に革新」 | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com) 

新しいコンテンツ流通の切り札となるのか?NFT 

 非代替性トークン(NFT)と呼ばれる、いわばデジタル鑑定書が話題だ[16]。デジタル絵画や動画などの所有権をブロックチェーンの技術で証明するもので、コンテンツの取引の新の技術として注目されている。これによりネット上でコンテンツの取引がより活性化されることが期待される。例えば、今人気なのが、米国のNBAの動画コンテンツだ。トレーディングカードのように動画の所有権が高値で取引されている。 

 技術的な期待の反面、NFTを投機対象として扱っている業者も多いのは事実。社会インフラに成長できるのか、単なるブームで終わるのか、BitcoinやDogecoinなどの仮想通貨と合わせて注目される。 

[16] 台頭する「NFT」 仮想空間の新たな経済インフラに: 日本経済新聞 (nikkei.com) 

精度の高いAI、ECでも倫理観が問われる時代に 

 AIの精度が高まるにつれ、作る人・使う人の倫理観も問われる時代となってきた。企業こぞって社内規定を設置している[17]。その記事中に米国の大手流通「ターゲット」の事例が掲載されている。ターゲットは妊娠した女性を購買履歴からAIを用いて推定し、紙おむつのクーポンを配信していた。ここまではよくある話なのだが、あるとき高校生にクーポンが配信され、それを見た父親が激怒した。父親は「高校生の娘に変なモノを送るな」とクレームを入れたそうなのだが、実はその子は妊娠していたそうだ。精度の高さゆえに起きた後味の悪い結末だ。このようなトラブルを事前に察知する能力も、今後企業に求められることになるのだろう。 

[17] パナソニックもAI指針 開発透明化、データの偏り防ぐ  日立は倫理原則を策定 :日本経済新聞 (nikkei.com) 

以上 

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