日本の物販EC、対昨21%増の12兆2千億円、EC化率も8%台へ

経産省が令和2年度「電子商取引に関する市場調査」を発表[1][2]。日本の物販EC、対昨21%増の12兆2千億円、EC化率も8%台へ突入。しかしEC全体ではチケット販売が大きく減少し、マイナス成長に。


 一方、米国では、EC物販は44%増、EC化率21.3%という報告もあり[3]、日本のECの活用の低さも際立つ。

[1] 電子商取引実態調査(METI/経済産業省)

[2] 物販系分野BtoC-EC化率は8.08%に 経産省、令和2年度の「電子商取引に関する市場調査」発表|ネット通販情報満載の無料Webマガジン「ECzine(イーシージン)」

[3] Ecommerce trends amid coronavirus pandemic in charts (digitalcommerce360.com) (2021/2の記事)

持続可能なショッピングスタイルは定着するか?Loop / Letの取り組み

 容器の再利用やフードロス削減といった持続可能な消費スタイルをリードする企業の動きが活発だ。再利用可能な容器を循環させるプラットフォームを提供するLOOPジャパンは、伊藤忠商事の出資を受け事業拡大を狙う[4]。また、余った在庫、型落ち品、見切り品、B級品、規格外品、新古品など「訳あり品」を売買できるマーケットプレイスを提供するアプリ、Letは利用者が400万人を超えた[5]。ショッピングもSDGsを意識したスタイルへ変革しつつあるといえる。ただし、いずれのビジネスも容器や商品の配送コストが重くのしかかる。ビジネスとしての持続可能性にも残された課題は多い。

[4] 伊藤忠商事、循環型ショッピングプラットフォームLOOPの事業拡大に協力 SDGsへの取り組みを強化|ネット通販情報満載の無料Webマガジン「ECzine(イーシージン)」

[5] 食品ロス/在庫ロス削減アプリ「Let」のユーザー数が400万人を突破 国内最大のフードロス削減プラットフォームに|ECのミカタ (ecnomikata.com)

食品ECの伸長で通販代行会社のチルド・冷凍対応進む

 ふるさと納税や補助金、クラウドファンディングの台頭で、食品通販の需要が伸びている。そこで課題になるのが、チルド・冷凍商品の扱いだ。通販代行会社のいつもは、冷凍・冷蔵専用倉庫スペースを5倍に拡充し、食品通販参入を目論む企業のニーズに備える[6]。

[6] 株式会社いつもがEC専用冷凍・冷蔵倉庫スペースを5倍に拡充|ECのミカタ (ecnomikata.com)

新2-8の法則?アプリ会員が売上を下支えするブックオフ

 ダイレクトマーケティングでは「2-8の法則」とは2割の上顧客が8割の売上を占めることを指す。この上顧客はデジタルの時代にはアプリ会員を指すことになるかもしれない。古本や各種リユース商品を取り扱うブックオフでは、全体の15%しかいないアプリ会員が売上の1/3を生み出しているそうだ[7]。ポイントカード、クーポンなどのお得情報に加え、在庫検索、取り置き機能などが人気なようだ。ブックオフの取り組みは今後の企業のアプリ戦略の参考となりそうだ。

[7] ブックオフグループ、売上1/3を15%のアプリ会員が生むアプリ戦略 | ネットショップ担当者フォーラム (impress.co.jp)

定番サブスク商材ウォーターサーバー、ジャパネット専用工場対応で契約者伸長、10万人達成

 定番サブスク商材のウォーターサーバー事業にジャパネットが本腰を入れる[8]。テレビ、カタログ通販では売り切り商材が中心だったジャパネットだったが、リピート商材を獲得したことは今後のビジネスの安定化に寄与しそうだ。大型のウォーターサーバーの設置も、大型家電を手掛けてきたジャパネットの配送ノウハウが活かせる。今回の成功を機に、今後もサブスク商材を投入してきそうだ。

[8] 通販新聞社 / 契約利用者数が急伸、10万人に<ジャパネットのウォーターサーバー事業> 製造力3倍の新工場が稼働 (tsuhanshimbun.com)

店舗のOMO化サポート企業に注目集まる

 経産省の発表では、2020年の食品・飲料・酒類のEC化率は3.31%。比率としては中国・欧米に及ばないが昨年比21%増と確実に伸びている。EC化に対応するためにはアプリ対応も必要だが、日本のスーパーは地域密着タイプのものも多く、スクラッチからアプリを構築するのは難しい。そこで、チェーンストア向けのEC/アプリ構築をサポートするソリューションベンダー「Stailer」に注目が集まる[9][10]。なお、世界的にはラストワンマイル配送にも注目が集まり、多くのスタートアップがひしめく[11]。

[9] チェーンストアEC立ち上げ『Stailer』の10Xが約15億円の資金調達を実施|ECのミカタ (ecnomikata.com)

[10] Stailer提供の10X、総額約15億円資金調達 チェーンストアECの物流機能拡張等へ投資|ネット通販情報満載の無料Webマガジン「ECzine(イーシージン)」

[11] ラストワンマイル配送を変革 スタートアップ95社: 日本経済新聞 (nikkei.com) (2021/5の記事)

以上

No responses yet

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です