産業分析やビジネスモデル分析をやっていると、うまいビジネスモデル、まずいビジネスモデル、というのがおよそ分かるようになります。

しかしながら、それが世の中にマッチしているかどうかはまた別問題。モデルの良し悪しより、タイミングが結構難しい。自分自身いいアイデアと思いつつ、タイミングが悪く企画倒れになってきたものがたくさんあります。例えばこんなこと…

建設機械グローバル中古販売ビジネス、は提案が早すぎた?

90年代に中古車のオンラインオークションとうのが出てきました[1]。消費者向けではなく、中古車ディーラー間、BtoBのオークションです。実物を見ないと取引は難しいと思われていた中古車ですが、BtoBであればフォーマットに即して品質をデータ化すればオンラインであっても十分市場が機能するということがわかってきました。

それならば、この考え方を応用して建設機械の中古市場もオンラインで作れるのでは?ただし建設機械は中古車と比べて市場は小さいので、一つの国では売り手・買い手の規模が小さく契約が成立しにくい。いっそのことインターネットを使ってグローバルで展開してはどうか?建設機械メーカーは機械の輸出入のノウハウもあるわけだから、実現可能ではないか?

こんな話をある建設メーカーの方に説明をしたのですが、インターネット?グローバルで?市場性が見えないなぁ…ということで一蹴。しかし、数年後には様々なプレイヤーが参入したのでした。

確かに、あとから見てみると、やはり品質をどのように見せていくかは工夫が必要のようでして、私の浅い知識ではビジネスを実現できていたかどうかはわかりません。…あー、でもー、あの時一言「面白いね」と言ってもらえれば、その気になってもっと真剣に研究して突破できたかもしれないのに…。ちなみに、最近のオークション方法については、こちらの記事が参考になります[2]。

ECのコンビニ取り置きサービスは、帯に短し襷に長し?

これも90年代の話ですが、ネット書店の配送を、自宅までではなくコンビニ取り置きにしたら配送コストが下がるのではないか?といろいろと考えて、いろんな人とお話をした時期がありました。そんな中、たまたまあるチェーン店の方とお話する機会があったので、これもお話をしてみました。が、これまた一蹴。お店の負担や、そもそも置く場所がない、とか、いろいろと問題がありすぎて無理、とのこと。

そりゃ課題は多いだろうがECの成長性からするとチャレンジすべき、と説明しますが、リアル店舗がECより大切なチェーン店の方々からすると、他人が売ったものの配送には興味なし、といった感じ。

その後この話はすっかり忘れていたのですが、1~2年後でしたでしょうか、大手コンビニがなんと同じモデルを実現してしまいました[3]。あれあれ?何が間違っていたのかな?

まず、取り置きだけではビジネスとしては魅力がなく、自ら販売するモデルも入れ込む、もしくは強いアライアンスパートナーを持つ必要があったこと。(そんなところまで考察する前に一蹴されてあきらめていた。)それから、やはり商品の管理を実現するロジスティクス/情報システムインフラが必要であったことが挙げられます。

しかし、この取り置きですが、Amazonがプライムサービスを始めるなど、無料配送の拡大に押されなかなか普及しませんでした。が、2017年の宅配クライシスで再び取り置きにも人々の関心が向けられます。しかし2020年コロナで再び宅配ニーズが高まり、宅配網の拡充に業界が舵を取り…[4]。ラストワンマイルの攻防戦は、予想が難しいです…

中国のECを支える配達員市場

自分の読みが全く外れることも時々起こります。特に中国で起こります。私が思いっきり読み間違えたのが、中国のECの普及スピードです。

前述の取り置きサービスの話でも出てきましたが、ECは配送網がとても重要です。私は中国は配送網をそう簡単に作れない、と思ったのです。なんでそう思ったかはっきりは覚えていないのですが、おそらくヤマト運輸の苦労話とか、日本のようなきめ細かい丁寧なサービスとかを思い描いたのでしょう。品質の良い配達員をそんなにそろえることは難しいと直感的に思ったのでした。

しかし、それは誤りでした。中国の巨大な労働市場と、急成長するECニーズ、Uberなどに象徴されるIT/アプリによるオペレーション管理、これらを組み合わせることでECの配達員を市場メカニズムで大量に調達できてしまうのです。(中国で市場メカニズムというのも面白いが…)しかし、さすがに急増するECニーズにさすがの中国でも人の供給が追い付かないようですね[5,6]。やはりビジネスの成否の予想は難しいものです。

新しいビジネスモデル構築、どこで間違うのか?

こうやって自分の失敗を見ていると、どこで間違うのかパターンがありそうです。

  1. 良いアイデアでもタイミングが合わなければ理解はされない。しかしそこで諦めたら終了。本当のタイミングが来た時には間に合わない。
  2. 新しいアイデアには課題がつきもの。その解決方法はビジネス環境でずいぶん変わる。かなり柔軟に環境対応しないとアイデアは失敗に終わる。

考え続ける粘り強さと環境変化に対応する柔軟さ、うーん、難しいっす。

[1] Warbelow, A., Kokuryo, J., & Konsynski, B. (1989). AUCNET: TV auction network system. Harvard Business School Case/Study, HBVR, 9-190.

https://www.hbs.edu/faculty/Pages/item.aspx?num=3358

[2] 日立グループ (2018) 「建設機械中古車マーケット 注がれる熱視線」Tierra Plus.

https://www.hitachicm.com/global/wp-content/uploads/2018/03/tierraplus_123.pdf

[3] Wikipedia 「セブンネットショッピング」

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%96%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%94%E3%83%B3%E3%82%B0

[4] 日経新聞電子版 (2020)「ヤマト、宅配にギグワーカー EC向けに配送網整備」

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56098730W0A220C2TJ2000

[5] JBPress (2017)「中国で軽視される宅配業の実態 しわ寄せを受け続ける配達員たち」

https://news.livedoor.com/article/detail/13130762/

[6] 西日本新聞 (2020)「料理配達員の過酷労働、中国で問題に『逆走や信号無視をしないと…』」

https://www.nishinippon.co.jp/item/n/646633/

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