通販市場速報、前年度比7・8%増の11兆4600億円、コロナ反動で伸び鈍化
日本通信販売協会、JADMAが2021年度の通販市場売上高(速報値)を発表した[1]。それによると、21年度は、前年度比7・8%増の11兆4600億円。前年は20%超の伸び率となったことから、その反動で伸びは鈍化し、一昨年並みの成長となった。
反動がマイナス成長となった業態もあるようだ。通販新聞が取りまとめた「総合通販ランキング」における総合通販の上位10社を見てみると[2]、プラス成長となったのは4社のみ。コロナによる巣ごもり需要を広く取り込んだ企業ほど、反動が大きかったことがうかがえる。昨今では、ECにおいてもライブコマースや動画コマースなど、映像を用いたオンライン販売方法が台頭してきており、テレビという放送メディアで足場を固めてきたテレビ通販にも影響が出てくると予想される。
[1] 通販新聞社 / JADMA 通販市場は11兆4600億円、前年比7.8%増、例年並みの伸び率 (tsuhanshimbun.com)
[2] 通販新聞社 / コロナ特需の反動で苦戦目立つ<注目ジャンル別通販売上高ランキング> (tsuhanshimbun.com)
リテールテック市場、成長10%超、人手不足やコロナが後押し
富士産業がリテールテックの市場予想を発表した[3]。それによると2022年の国内市場規模(見込)は2,893億円。昨年比12.6%の成長となった。
現在は規模としては小さいものの成長が大きいのが、マーケティング領域だ。例えば、オペレーションの一部として集計されている、One to Oneマーケティングや関係性(カスタマーエンゲージメント)構築・向上のためのソリューションである「カスタマーサクセス支援システム」は、昨年比40%増の70億円となっている。これらはSaaS型のソリューションが中心で、決済端末などのハードウェア投資とは性質が異なり金額を単純比較できないが、成長は目覚ましい。
さらに、これらの統計では把握できていないIT活用の活用も活発だ。昨今話題のリテールメディア領域では、流通・小売だけでなく、テクノロジー企業や広告代理店とのコラボレーションも多くみられる[4][5]。また、既存の店舗ではなく、「売らない店」といった新しい店舗には多くのIT技術が活用されている[6][7]。これらの見えない投資を含めると、リテールテック、特にマーケティング領域の規模はさらに大きいと推測できる。
[3] リテールテックの国内市場、2022年は前年比112.6%の2,893億円見込み/富士経済|ECzine(イーシージン)
[4] 日本にも波が到来! リテイルメディアに取り組む 小売企業が絶対に押さえておきたいこと _小売・物流業界 ニュースサイト【ダイヤモンド・チェーンストアオンライン】 (diamond-rm.net)
[5] サツドラ、広告効果をAIカメラで検証 販売数1.5倍に: 日本経済新聞 (nikkei.com)
[6] アイスタイル、サブスク型出店サービス データを提供: 日本経済新聞 (nikkei.com)
[7] アイスタイル、サブスク形式での@cosme出店サービス『co-store』リリース|ECzine(イーシージン)
キャッシュレス決済、クレジットカードの動向に今後注目
キャッシュレス決済が、乱戦模様だ。今季、スマホを活用したQR決済がICプリペイド型の決済総額を上回った[8]。その動きに対し、JCBもスマホ決済に参入を表明している。とはいえ、金額ベースではキャッシュレス決済の中心はクレジットカードに変わりはない[9]。
クレジットカードは、ECなどでの利用増に加え、Apple Payなどと連携したタッチ決済にも対応するなど、利便性は向上している。加えて海外でも利用可能なのが魅力だ。コロナ後の国境を越えた移動が増えるにつれ、国内と海外の利便性のバランスも、消費者の選択を左右しそうだ。
[8] スマホ決済、JCB参入で乱戦模様 QR市場7兆円超す: 日本経済新聞 (nikkei.com)
[9] (6月記事)2021年のキャッシュレス決済比率を算出しました (METI/経済産業省)
以上
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