米アマゾン、倉庫の新規建築を延期・中止、EC成長の鈍化を受け

コロナの影響が和らぎ、ECの成長が鈍化している。アマゾンは、ECの成長に対応するため倉庫の増設を進めていたが、ここに来てそれが重荷になってきている。米流通専門誌のRetail Driveによれば、米アマゾンは、本年度計画されていた倉庫の増設の内、少なくとも13の計画について延期・中止すると報じた[1]。アマゾンは1~3月期に赤字転落しており、財務改善が急務とされていた[2]。今回の計画修正で立て直しを図る。

なお、例年1回行われるプライムデーは、今年は7月12、13日に予定されている他、秋にも同様のセールを実施するのではないかと噂されている[3]。

[1] Amazon cancels, delays wave of warehouse plans as e-commerce demand cools | Retail Dive

[2] (4/29記事)Amazon1~3月、7年ぶり最終赤字 新興EVの評価損響く: 日本経済新聞 (nikkei.com)

[3] またセール? Amazon.com、プライムデーと並ぶ新たなプライム会員向けセールを検討中との噂【やじうまWatch】 – INTERNET Watch (impress.co.jp)

迫る物流2024年問題、卸・小売業での認知率は過半数割れ

総合人材サービスのパーソルホールディングスは、物流業界の「2024年問題」に関する実態調査を実施した[4]。2024年問題は、「働き方改革関連法」のトラック業界への適用猶予期限が終了し、物流の人手不足が懸念されているもの。調査では、運輸・郵便業においては59.8%と高い認知率を示しているが、卸・小売業では50%をわずかに下回った。

また、今後発生する課題としては、「対応のためのコスト増(36.9%)」「人材不足(30.7%)」が多く挙げられた。その一方で現在取り組んでいることについて「特になし」と答えた企業は43.4%に上る。特に中小企業では51.4%に上る。エネルギーコスト上昇で物流コストも上昇しており、今後さらに人材不足という課題が重なる。各社2024年に向けた対応が急がれる。

[4] 物流業界の「2024年問題」で「自社も取引先も影響を受ける」は5割、卸売・小売業の課題は「サービス・商品の値上げ」 | ネットショップ担当者フォーラム (impress.co.jp)

EC/リアル店舗、スーパー/コンビニ、コロナで変わった買い場の組み合わせ

コロナ禍を経て、消費者の買い場の使い方の変化が徐々に見えてきた。NTTコム リサーチの調査によれば[5]、コロナ禍を経て、消費者は「具体的な目的のない買物のために出かけることを控えるようになった(64.0%)」という。一方、ECの利用が増えたカテゴリーとしては、服飾・雑貨(20.3%⇒28.6%)、本・雑誌(29.4%⇒36.8%)が挙げられる。

買い物行動の変化は、リアル店舗にも表れている[6]。スーパー、ドラッグストアでは、買い物時間が夕方から昼や、開店直後にシフト。「その日の特売をめがけて開店直後に行き、まとめ買いするようになった(30代専業主婦女性)」「在宅ワークになったため、昼休みに買い物に行く機会が増えた(40代就業中男性)」といったことが要因のようだ。一方コンビニは昼から夜へピークがシフトした。お弁当需要から、夕食や宅飲み需要へのシフトを反映しているようだ。

また、ECの利用増に伴い、新しいECの形にも変化が。ライブコマースアプリ「POPO(ポポ)」によると[7]、ライブコマースを利用したことのある消費者は5.5%。ライブコマースで買いたい商品としては、1位「食品・飲料・お酒(27.2%)」、2位「服&ファッション小物(15.8%)」、3位「ゲーム(11.3%)」、4位「本(洋書含む)(10.7%)」となった。いずれも普段ECで購入するものだが、「ライブ配信なら掘り出し物が見つかりそうだから(11%)」といったことが動機のようだ。今後はECでも、ブランドとの新しい出会いが重要となってきそうだ。

[5] オンライン店舗とリアルな場との「ハイブリッド型」購買パターンがオンライン購買促進/NTTコムリサーチ|ECzine(イーシージン)

[6] [コロナ禍の買物時間] スーパー・ドラッグストアは昼間、コンビニは夕方の買い物が増えた理由 – MD NEXT (md-next.jp)

[7] ライブコマース利用経験者は5.5%、ライブコマースで買いたい商品1位は「食品・飲料・お酒」|ECのミカタのニュース記事です (ecnomikata.com)

以上

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