LTV最大化のカギは「肯定度」、Google惰性型購買行動に関する調査結果を発表

消費者は、すべての商品を吟味して購入の意思決定をしているわけではない。普段の消費には、いつもつかっているから「何となく購入」し続けるものも多い。Googleは、この惰性型の購買行動を持続させる、すなわちLife Time Valueを拡大させるためには、実は初回購入前のブランドに対する「肯定度」が重要だとしている[1][2]。この肯定度は、初回購入後に自分の買い物への自信を高め、また二回目以降の購入へもつながるという。

また、肯定度を高める要素としては、商品について情報を得るための「探索行動」にあるという。特に寄与度が高いのが、ネットと店頭。商品の良いところだけでなく、ネガティブな情報もその後の肯定度につながるようだ。なお、惰性型購入の究極であるサブスクリプションでは「飽きる」という心理変化も課題となるが、その点については、拙著「コマースマーケティング」をご覧いただきたい。

[1] 人はなぜ「何となく購入」し続けるのか グーグル調査から見えた心理:日経クロストレンド (nikkei.com)

[2] なぜ私たちは繰り返し購入するのか?:継続購入の深層心理 – Think with Google

SDGsを意識した消費は3割、男女差も

昨今話題に上がることも多いSDGs。しかし認知率46.6%にとどまるようだ[3]。一方でSDGsを意識した買い物経験をしたことがあると答えた人は、3割弱。低い認知率に比べると悪くはない。SDGsには環境や人権など様々なものが含まれており、SDGsという言葉を知らずとも買い物の際に気に留めている消費者もいるのだろう。

一方気になるのが男女差だ。認知、買い物経験ともに、男女で10ポイント以上の差が生じている。SDGs消費の購入品目では、女性では「食料品」が高く、男性では「電力(再生可能エネルギーなど)」が高かった。どうやら男性には、SDGsと日常の消費生活との関係性につながりが薄いようだ。

[3] SDGsを意識した消費経験は約3割、価格負担は3割増までが限度【NTTコム オンライン調査】:MarkeZine(マーケジン)

体系に合わせたサイズ提供も、売上減に苦しむ米Old Navy

アパレルGapグループの一つであるOld Navyが売上不振だ[4]。ナイキの太目の女性マネキンなど[5]、ファッション業界では大き目のサイズを提供する動きが加速している。Old Navyも様々な体系に合わせたサイズの提供に力を入れてきたが、それが在庫問題につながった模様だ。

8月からスタートした施策では、女性向けのほとんどの商品に関して、サイズ0から30、かつXSから4Xまで揃えるというもの。かつてこれだけのタイプをそろえたブランドは無いという。ほぼどのような体系であっても好みのデザインを選べるという点では顧客にとってありがたいサービスではあるが、結果的にはXSや4Xなどが残り、真ん中のサイズが品薄になるという事態に陥ってしまった。企業のインクルーシヴな取り組みは歓迎されるべきだが、サプライチェーンなど克服すべき課題は多いようだ。

[4] Old Navy Made Clothing Sizes for Everyone. It Backfired. – WSJ

[5] (過去記事)ナイキが導入した“大きいサイズ“の女性マネキンに賛否両論。「そもそも痩せすぎだったのでは?」との声も | ハフポスト WORLD (huffingtonpost.jp)

リアル店舗でコーディネートのレコメンド、進む売り場のデジタル化

ECの発達でカメラとAIを組み合わせた商品レコメンドのソリューションが増えてきた。Snapchatのバーチャル試着などもその一つだ。ただ、やはり最後は実物を見て自分に合わせて購入したい、という消費者も多いのではないだろうか。

セレクトショップ「FREAK’S STORE」が導入したのは、売り場で自分に似合いそうなアイテムをレコメンドしてくれるインタラクティブミラーだ[6]。ミラーにはカメラが設置してあり、客の画像から服装やアクセサリーなどのアイテムを認識。似たテイストの商品をAI技術で選択し、ミラー画面に表示する仕組みだ。

レコメンドされた商品は、ECの商品ページの画像の活用が多く、モデルが着用してコーディネートも想像しやすい。もちろん在庫があれば実物は確認できるし、ミラーに表示されるQRコードを使ってECで購入することも可能だ。ECと店舗の良いところを活用できるO2Oの一つの方法と言えそうだ。ECと店舗をテクノロジーで融合しようという仕組みは、先日オープンしたファッション専門店「アマゾン・スタイル」でも話題になっており[7]、今後売り場のデジタル化が加速しそうだ。

[6] リアル店舗でAIが「似合う服」を提案。新しい買物体験届けるインタラクティブミラー – MD NEXT (md-next.jp)

[7] アマゾン初のアパレル実店舗オープン AIが好み分析し提案 (fnn.jp)

以上

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