小売にサブスク会員、コストコは会員誌で囲い込み

米国では、小売業にサブスク会員サービスが広がっている。配送費が無料になるというサービスとしてアマゾンプライムやウォルマートプラスが有名だが[1]、小売のサブスク会員はサムズクラブやコストコといった、いわゆる会員制ホールセールが元祖だ。そのコストコの会員誌がひそかな人気となっている[2]。

会員誌は日本でも展開され、ウェブ版は誰でも見ることができるが、一部の会員には印刷版が配布されており、フリマで売買されるほどの人気だそうだ。会員制度と雑誌/カタログによる囲い込み戦略は、カタログハウス「通販生活」など過去にも事例があるが、印刷・配送コストの問題でECの時代になり縮小・廃止となることも多かった。コストコの紙会員誌は、ロイヤルカスタマーに対する紙コミュニケーションの活用方法に示唆を与えてくれる。

[1] ウォルマート、会員制が成長源 「置き配」3000万世帯に: 日本経済新聞 (nikkei.com)(2月の記事です)

[2] 無料の会員誌がフリマアプリで売れる? コロナ禍で強さを見せたコストコのブランド戦略に迫る _小売・物流業界 ニュースサイト【ダイヤモンド・チェーンストアオンライン】 (diamond-rm.net)

様々な業態に広がるスマホレジ、IKEAのアプリはEC統合型

イオンのレジゴー、マルエツやカスミのScan and Goなど、お客さん自身のスマホで商品スキャンができるスマホレジが注目だ。スマートカートなど、店舗の機器を使ったセルフスキャン方式もあるが、買い物前の情報提供や決済機能との統合という観点では、スマホアプリによるスマホレジ方式にもメリットはありそうだ。

IKEAのScan&Payは、元々会員証やEC機能を持ったアプリにスマホレジ機能が統合された仕様となっている[3]。IKEAでは商品のサイズも大小さまざまでレジオペレーションが複雑。それが原因でレジ待ちの長い列ができることもしばしばだ。Scan & Payはチェックアウトも簡単でレジの列解消にもなる。また、会員証・EC機能とも統合されているため、店舗商品だけでなくEC商品のマーケティングも可能だ。なお、MD NEXTではホームセンターのアプリ使用レポートなどもあり、興味ある方はぜひ一読してほしい。

なお、スキャンすら不要なAmazon Goのような無人店舗も、主に小規模店舗を中心に実用化が進んでいるようだ[4]。

[3] 自分のスマホで商品をスキャン、レジで並ばずにお会計。IKEAの「Scan&Pay」 – MD NEXT (md-next.jp)

[4] TTG無人決済店舗が全国展開開始 高輪ゲートウェイ店の稼働開始から3年目で13ヵ所へ拡大|ECzine(イーシージン)

日本の通販売上3月は横ばい、アパレルなどが減も、食品、家庭用品は増

アマゾンの1~3月期の売上が前年同期比7%増も最終損益は38億4,400万ドルの赤字だったとして株価が急落したのは記憶新しい[5]。リアル店舗が復活し始め、ECの成長が鈍化したためだ。ただ、コロナによるEC化は、消費者の買い物行動をECにシフトさせ、それが定着し始めているのも事実のようだ。

日本通販協会が発表した3月の会員社売上高(アマゾンは含まれていない)は、横ばいの1152億円。アパレルなどが微減したものの、家庭用品・食品がそれぞれ5.1%増、4.0%増となり、全体では横ばいとなった[6]。日本でも店舗へ客足が戻ることは予想されるが、ECは買い物チャネルの一つとして今のところは定着しているようだ。

[5] Amazon1~3月、7年ぶり最終赤字 新興EVの評価損響く: 日本経済新聞 (nikkei.com)

[6] 3月通販統計|売上高1152億円0.0%/家庭用品5.1%増・衣料品2.7%減 – 流通スーパーニュース (shoninsha.co.jp)

量り売りビジネス、IT活用で客のストレス軽減、今後はノウハウ外販も

環境負荷を減らすためには、容器を使いまわしする量り売りは理想形だ。しかし現実には課題も多い。こうした課題をIT活用で克服しビジネスを展開しているのが、京都の食品スーパー、斗々屋だ。量り売りビジネスでは、計量された商品を特定し価格を決定する部分に手間がかかる。その手間を省くのに一役買っているのが、寺岡精工のセンサー技術の組み合わせだ。

しかし、量り売りのビジネスを成立させるためにはテクノロジーだけでは不十分だ。食糧廃棄ロスを減らす工夫が必要だったり、開発コストを埋め合わせる必要がある。そこで店内キッチンを活用したり、ノウハウを外販したりしているそうだ[7]。環境配慮型ビジネスには、単なる商品の仕入れ販売を超えた、一回り大きなエコシステムの発想が必要なようだ。

[7] ゴミを出さない!国内初、量り売り食品スーパーの斬新なビジネスモデルとは _小売・物流業界 ニュースサイト【ダイヤモンド・チェーンストアオンライン】 (diamond-rm.net)

コンビニの存在に変化、セブンイレブンの商品戦略に「ふだん使い」

少子高齢化にコロナ禍による生活様式の変化。コンビニを取り巻く市場環境に変化が生じている。セブンイレブンが、今、野菜や「ダイソー」商品の導入を試みている[8]。

セブンイレブンと言えば、セブンプレミアムなどPB商品が有名だが、その自前主義に見直しが入っている。ドラッグストアの出店ラッシュや郊外商圏の高齢化など、客のニーズの変化も多い中、従来のコンビニのターゲットと異なる、主婦のふだん使いニーズもとらえていこうという試みだ。

[8] 最新商品戦略!セブン-イレブンが野菜や「ダイソー」商品を導入する狙いとは _小売・物流業界 ニュースサイト【ダイヤモンド・チェーンストアオンライン】 (diamond-rm.net)

以上

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