常識化するECの多店舗展開、一方リアル流通のDNVB買収は転換点へ

 ECをするなら顧客データが詳細に把握できる自社ECに限る、という考え方は依然根強いものの、ECプラットフォーマーのシェアの上昇とともに、「多店舗」という考え方も一般化している。果たして自社限定が良いのか、多店舗を視野に戦略を組むべきかECコンサルタントの記事が掲載されている[1]。一方に固執せず、状況に応じて判断する、というのが正解なのだが、どんなことを判断材料にすべきか、という点で参考になるだろう。

 日本でも流通業のEC化は進んでいる[2]。流通業にとってもEC戦略は避けて通れない課題だが、その中でDNVB(Digitally Native Vertical Brand、生粋のデジタルブランド、とでも言いましょうか…)をどのように取り込むか、買収・売却の動きが加速している。その中心がWalmartとAmazon[3]。ECで高い価値を示すDNVBだが、本業とのシナジーを作り出せるかが課題となるが、事業規模の違いなど現実では難しい課題が多い。今後もECにおけるブランドのあり方の議論は続くだろう。

 また、多店舗、ヘッドレスコマースに対応するベンダー側のサービス強化も加速しそうだ[4,5]

[1] これから始めるなら、モールと自社EC両方マストですか?コマースメディア井澤さんに多店舗展開を聞く |ネット通販情報満載の無料Webマガジン「ECzine(イーシージン)」

[2] ビックカメラ 20年9月―21年2月期/EC売上高24%増/売上構成比2割に迫る | EC | 日本ネット経済新聞 | 日流ウェブ (bci.co.jp)

[3] WalmartとAmazonの示唆 米国のD2C(DNVB)は第三フェーズへ :MarkeZine(マーケジン)

[4] CA、小売企業のUI/UXデザインから開発・運用までを支援する「次世代ヘッドレス開発室」を設立:MarkeZine(マーケジン)

[5] サイバーエージェント、柔軟なECサイトやアプリ開発が可能な「ヘッドレスコマース」を推進  UI/UXデザインから開発・運用まで一気通貫で支援|ECのミカタ (ecnomikata.com)

テレビ通販×SNS、クラファン×家電量販、リアル店舗×デリバリー・・・CX連合が加速

 オンライン、オフラインそれぞれを得意企業が連合し新しい顧客体験を提供する、CX連合が加速している。動画コマースに関しては、テレビショッピングのノウハウを有するショップチャネルが動画SNSメディアであるCネットとの提携を発表[6]。また、三越伊勢丹など百貨店が先行しているクラウドファンディングとのコラボが家電量販にも広がってきている[7]。

 リアル店舗とネットの連合としては、バラエティーショップのフランフランがウーバーイーツを活用した配達サービスをスタート[8]。同様の仕組みはコンビニでも広がる[9]。独自のデリバリーシステムの構築を目指すセブンイレブンに対して、CX連合型のビジネスモデルが対抗可能なのか今後注目したい。

[6] ジュピターショップチャンネル/C Channelと提携/ライブコマースで顧客開拓 | 通販 | 日本流通産業新聞 | 日流ウェブ (bci.co.jp)

[7] エディオン/京都四条河原町店に「Makuake SHOP」開設 | 流通ニュース (ryutsuu.biz)

[8] フランフラン/東京・神奈川・大阪で「ウーバーイーツ」対象店舗拡大 | 流通ニュース (ryutsuu.biz)

[9] ローソン/デリバリーサービス対応を7月末までに2000店舗に拡大 | 流通ニュース (ryutsuu.biz)

食のEC化、本格化、食品流通のあり方にも一石

 コロナ禍を経て世界的に食品ECが加速していることは以前にも報道されている[10]が、日本でも食品D2Cが急成長している[11]。中小規模だけでなく大手企業も参入していることが特徴的だ。同時に、フードロスを防ぐためのマッチングビジネスなど[12]、食に関する様々なサービスがECで展開されるようになってきた。長らく苦戦が続いた食品のECビジネスだが、持続可能なビジネス環境は徐々に整ってきているようだ。

[10] (過去記事です) 食品宅配サービス 黎明期の失敗から、我々が学ぶべきこと | DIGIDAY[日本版]

[11] 食品D2Cサービス市場に関する調査を実施(2021年) | ニュース・トピックス | 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所 (yano.co.jp)

[12] 食品ロス削減のマーケット「Let」出店ショップ数が1万を突破 コロナ禍の食品ロス増加で急成長|ECのミカタ (ecnomikata.com)

進む飲食店のデジタル化、米国では無人配送ロボットも登場

 飲食店のデジタル化が止まらない。アプリダウンロードが普及のハードルとなっていたモバイルオーダーにLINEミニアプリ版が登場[13]。普及に弾みがつきそうだ。さらに米国では、無人配達ロボットがいよいよスタート[14]。こちらの紹介映像は興味深い。日本では様々な規制があり実現にはまだ時間がかかるとみられるが、技術的には商用化が見えてきた。なお、日本でも規制緩和が徐々に動いており、今週は電動キックボードに動きが[15]。

[13] LINEアプリから飲食店での注文が可能に「poscubeモバイルオーダーLINEミニアプリ」リリース:MarkeZine(マーケジン)

[14] ドミノ・ピザ、配達人は自動運転ロボット。米国でスタート – bouncy / バウンシー (moov.ooo)

[15] 電動キックボード本格普及の前哨戦 日本初「ヘルメット任意」に:日経クロストレンド (nikkei.com)

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