コロナ禍の業績、業態で明暗

COVID-19は経済に多大な影響を与え続けています。報道の多くはマイナスのイメージですが、昨今の報道を見ると、むしろ新しいニーズの開拓に成功している業界もあるようです。

 最初のキーワードは新「ドーナツ化」。流通業や飲食チェーン店でも、郊外型の業績は好調で、株価も好調。[1]この郊外型、在宅型消費は、コロナ当初リアル店舗離れから苦戦していた郊外型家電量販にも消費者が戻ってきているようです[2]。コロナ禍で有利なEC業界も活況。ベルーナをはじめ、総合通販も復活[3]。市場の期待が高かったメルカリも初の黒字となりました[4]。

 欧米では郊外店はECで息を吹き返しつつあるようです。いわゆるBOPISといわれるピックアップ型のEC[5]。ウォルマートのBOPIS用のタワーが有名ですが、ウォルマートは今度はAmazon対抗で少額注文でも宅配対応ができるように体制を整えつつあります[6]。BOPISなのか宅配なのか、この攻防戦はまだまだ続きそうです。

[1] (スクランブル)消費株、ドーナツ化現象  郊外展開銘柄に業績期待 :日本経済新聞 (nikkei.com)

[2] 家電量販3社が上方修正 買い替え需要伸びる  今期純利益、ヤマダHDは75%増に :日本経済新聞 (nikkei.com)

[3] ベルーナ/4~12月は通販事業好調で増収増益 | 流通ニュース (ryutsuu.biz)

[4] メルカリ、初の営業黒字  7~12月、足元では息切れ感も :日本経済新聞 (nikkei.com)

[5] EC前年174%増も「店舗不要にあらず」米ベストバイ【CES 2021】:日経クロストレンド (nikkei.com)

[6] ウォルマート、少額でも無料宅配 最低購入額の条件撤廃: 日本経済新聞 (nikkei.com)

楽天市場、コロナ禍で復活、さて今年は何を仕掛けるか?

 AmazonやPayPayモールなど、ニュースの多いECモールですが、日本のECモールの草分けの楽天市場も昨年は業績を大きく伸ばしたようです。三木谷さんも鼻息が荒い・・・さて、どんなコメントを楽天市場に送ったのか?コンパクトなレポートがありましたので、ぜひご覧ください[7]。

 楽天市場でもう一つ注目なのが、ショップオブザイヤー(SOY)のオンライン開催[8]。お祭り感が果たしてショップさんたちに伝わったかはわかりませんが・・・今年の注目は新設の「15年連続賞」。楽天の中で成功するショップはごくわずか。その中でも有力ショップがSOYの常連化するというのが続いていました。今回新たに連続賞の設置でマンネリ化を打破しようとしているのでしょうね。

 ECモール関連でもう一つ注目は、ショップの評価に配送クオリティーを採用するところが増えているという記事です[9]。Amazonや楽天もショップ向け配送サービスの拡充を急いでいます。しかし、過剰な配送サービスは宅配業界を再び圧迫することにもなりかねず、悩ましい問題です。ショップの配送クオリティーと同時に、受け取り側の寛容さも今後の産業の健全な成長には欠かせないでしょう[10]。

[7] 「モバイルにいっぱいお金を使っている、心配」の声に三木谷社長が答えた「楽天市場」2020年の振り返りと成長戦略【講演要旨】 | 大手ECモールの業績&取り組み&戦略まとめ | ネットショップ担当者フォーラム (impress.co.jp)

[8] 初のオンライン開催「楽天SOY2020」。画面越しに映った店長・スタッフの素顔と受賞店舗が支持される理由 | ネットショップ担当者フォーラム (impress.co.jp)

[9] 通販新聞社 / 仮想モール“配送力”強化へ、カギにぎる出店者の配送レベルの底上げ支援、大型キャンペの展開、物流代行強化など (tsuhanshimbun.com)

[10] 置き配を利用したことがあるECサイト「Amazon」が最多 盗難・破損が心配の声も/MMD研究所|ネット通販情報満載の無料Webマガジン「ECzine(イーシージン)」

キャッシュレス第二・第三の戦い

 PayPayの強烈なキャンペーンですっかりおなじみとなったキャッシュレス決済ですが、クレジットカードやプリペイドカードといった古典的手法も含めて考えれば、我々も古くから慣れ親しんだ手法と言えます。当然のことながら流通各社は独自の「決済」を持とうとします。今週はそういった話題が多かった印象です[11][12][13]。特にスーパーは日々の買い物・お財布の中心的役割を担いますから、独自決済の導入(もしくは古いプリペイドからスマホ決済への移行)に積極的です。昨年まではプラットフォーマーやメガ流通が中心のキャッシュレス化でしたが、今年はいよいよ地方スーパーやアパレルなど、様々な小売で独自決済が導入されそうです。

[11] イオングループ/DXでネットスーパー、スマホ決済など非接触の買物強化 | 流通ニュース (ryutsuu.biz)

[12] UNIQLOにANAや無印と「独自Pay」が続々、狙いは決済意識の希薄化 | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)

[13] キャッシュレス決済/重視するのは「煩わしさの回避」利用増は47.7% | 流通ニュース (ryutsuu.biz)

食材通販、ネットスーパー、コロナ禍でいよいよ黒字化か?

 食品、というカテゴリーは、とても大きな市場でありながらECでは攻めあぐねていたカテゴリーです。特に生鮮食品は配送が難しく、各家庭のニーズも変化が激しく、効率の良いオペレーションを構築するのが難しいジャンルです。しかしコロナ禍のおかげで食品ECの需要が高まり、規模の経済性でオペレーション効率も上がってきているようです。スーパーのECで成功している国は少なく、ECの先進国米国でも鬼門的な存在です。そんな食材通販の歴史と最近のトレンドが記事になっていました。なかなかこういうレポートないので、ぜひ一読をお勧めします[14]。

[14] 食品宅配サービス 黎明期の失敗から、我々が学ぶべきこと | DIGIDAY[日本版]

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